ノドにものが詰まったとき…。
茅ヶ崎徳洲会総合病院
救急総合内科医長
国本 英治


 目の前にいる人が、食事中にもちをのどに詰まらせ、急に苦しみだした。こんなときはどうすればいいのか?

 救急医療に詳しい、茅ヶ崎徳洲会総合病院・救急診療科の国本英治医師に聞いてみた。

 「人は、のどに何かが詰まると、とっさに親指と残りの指でギュッっと押さえるしぐさをします。これは『物がのどに詰まった』という、万国共通のサイン。このしぐさを見たら、相手が助けを求めていることを察知し、すぐに手当てをすることが必要です。」

 その際まず最初に確かめるのは、意識があるかどうかだ。意識があり、せきこんでいる場合は、できるだけせきを続けさせ、自分のせきで異物を吐き出させるのが最も有効な方法。

 それでも吐き出せないときは、下図の1〜3いずれかの方法を試してみる。いずれも、すばやく4〜5回繰り返し、できるだけ早く、異物を吐き出させることが重要だ。

 これらの方法で効果がないときは、図4のように側胸下部を押してみる。


意識があるときはこんな応急手当を
1.背中をたたく
片方の手のひらで患者の胸を支え、もう一方の手のひらで肩甲骨の間を4〜5回、強くすばやく、どんどんと叩く。このとき、患者の頭部を胸より低くするのがコツ。
2.上腹部を圧迫する(1)
患者の背後に回り、片手で握りこぶしを作ってわきの下から前に回し、患者のみぞおちに当てる。反対に手も同様に回して握りこぶしを握り内側上部に向けて圧迫するように押し上げる。
3.上腹部を圧迫する(2)
患者が仰向けになっている場合は、患者の大腿部の上にまたがり、片方の手のひらの付け根をみぞおちに当て、もう一方の手をその上に重ねて、4〜5回、上方へ向けて圧迫する。
4.側胸下部を圧迫する
患者の下半身にまたがり、胸の外側のやや下の部分に手のひらを置いて、内側に引き絞るように、ギュッギュッと圧迫する。患者がうつ伏せのばあいも同様に。



 手当てをしていても患者の意識が薄れてきた、あるいはすでに意識がないという場合は、すぐに119番し、救急車が来るまで、次の1〜4の手当てを繰り返す。
  1. 気道を開け、人工呼吸を行う。(下図5)
  2. 平手で背中をたたく(下図6)
  3. 意識がある場合と同様、側胸下部を圧迫する。(上図4)
  4. 口の中に手を入れて異物をかき出す。(下図7)

意識がない場合はこんな応急手当を
5.片方の手をあごの先に、もう一方の手をおでこに置き、患者の頭を後ろに反らせる。おでこに置いた手で鼻をつまみ、1.5〜2秒かけて十分に息を吹き込む。 6.倒れている患者を、自分のほうに向ける形で横向きにし、肩甲骨の間を平手で強くすばやく、4〜5回、たたく。
7.顔を横にして人差し指を口の中にいれ、異物が口の中に出てきていたら、かき出すようにして取り出す。この方法は、かえって異物をのどの奥に押し込むこともあるので、子どもには行わない。




 また、詰まった物がのどの奥に見えているときは、掃除機の先端にストッキングなどを当てて口の中へ入れ、吸い取る方法もある。

 物を詰まらせやすい人がいる家庭なら、一般の掃除機に接続して使え、モチやパン、肉などが簡単に吸い取れる吸引ノズルを常備しておくといいだろう。

 「おモチやコンニャクなど、ひとかたまりになったものをすっぽりと取り除くことができれば、問題はないでしょう。でも、詰まったものの中には、ご飯粒やおかずなど、いろいろな食べ物が混ざっていて、取り除ききれないことがあります。熱が出たり、具合が悪くなったりしたら、それらが原因で誤嚥性(ごえんせい)肺炎(物が気管に入って起こる肺炎)を起こしている可能性もありますから、すぐに病院に行くようにしてください。(国本医師)

 病院での処置としては、喉頭鏡(のどを広げてみる装置)や吸引機を使って、のどや食道、気管に詰まったものを取り除き、患者の容態によっては、心臓マッサージなどを施す。運び込まれた時点で心臓や呼吸が止まっていても、これらの治療で助かるケースも多いのだそうだ。

 楽しい気分もふっ飛んでしまうのどの詰め事故。未然に防ぐためには、こんな注意が必要だ。


  • 食べ物は、ゆっくりとしっかりかみくだく。
  • モチやコンニャク、はんぺんなど、詰まりやすい物は小さく切る。
  • 食べながら話をしたり、笑ったりしない(周囲の人は急に話しかけない、笑わせない、びっくりさせない)。
  • お酒を飲みすぎない(飲み込む力が弱まるため)。
  • 乳幼児には、食べながら走ったり、遊んだりさせないようにし、詰まりやすい小物や食物(ピーナッツなど)は、手の届かないところに置く。

 特に注意が必要なのは、循環器や呼吸器系の疾患、脳血管障害のある人だ、と国本医師は言う。



徳洲新聞 No.194号より転載

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