神経内科について

必修度と疾患の頻度からみた神経内科の重要性

●必修度

厚生労働省が必修として指定する20項目の「症状」の中には頭痛、めまい、視力障害、視野狭窄、四肢のしびれ、排尿障害など、「神経内科」を研修しないと経験困難な症状が多い。さらに厚生労働省が指定する緊急を要する病態には意識障害と脳血管障害が含まれており、「神経内科」で学ぶ必要性は大きい。

● 日本における寝たきり患者の約4割は脳卒中患者であり、現在日本全体の脳梗塞患者は179万人、2020年には300万人に達する。日本の医療費の1割は脳卒中関連である。日本においては脳卒中の入院受療率は心筋梗塞の「3倍」であり、脳卒中による死亡率は心筋梗塞による死亡率の「2倍」、パーキンソン病患者の数は、全臓器の癌患者数にほぼ等しい。また、片頭痛は人口1000人に85人、てんかんは人口1000人に5-15人であり、それらの患者数は高血圧や糖尿病よりも多い。

● 経験すべき診察法、検査、手技

(1) 基本的な身体診察法   症状および徴候の評価法を学ぶ。最終的にはたとえば歩行障害のある患者さんをみて器質性か心因性か、前者とするならばそれがいかなる形の歩行障害か、障害部位はどこかなどが評価をできるように、以下のことを行えるようにする。 ・病歴聴取 ・全身観察、頭頸部、胸腹部、泌尿生殖器、骨、関節・筋肉系の診察、記載 ・神経学的診察(精神面も含む)、記載 ・意識障害患者診察法

(2) 基本的な臨床検査 どのような検査がいかなる状態の患者に必要か、その意味づけなどについて学ぶ。 ・一般尿検査、便検査、血算、白血球分画、血液生化学的検査、血液免疫血清学的検査、細菌学的検査、X線検査(頸部・脊椎単純撮影検査)、CT、MRI検査(頭部・脊髄・骨格筋を含む)、脳核医学循環検査(脳SPECT検査)、脳PET検査について、受け持ち患者の検査として診療に活用することができる。 ・心電図検査、動脈血ガス分析、髄液検査、肺機能検査(スパイロメトリー)、知能検査、脳波検査、筋電図検査、末梢神経伝導検査、誘発電位検査などの適応を判断し、結果を解釈できる。 ・生検検査(筋肉および末梢神経)、頸動脈ドップラーエコー検査、脳血管撮影、ミエログラフィーは、検査の適応の判断ができ、指導を受けながら検査に参加し、結果の解釈ができる。

(3) 基本的手技

基本的手技の適応を決定し、実施するために、以下のことを学ぶ。 ・気道確保、人工呼吸、心マッサージ、注射法、採血法、導尿法を実施できる。 ・気管内挿管を実施できる。 ・ドレーン、チューブ類の管理ができる。 ・ルンバールが適切にできる。 ・上級医とともに内視鏡的胃ろう造設術ができ、その管理ができる。

(4) 基本的治療 基本的治療法を決定し、適切に実施するために、以下のことができる。 ・薬物療法 ・経管栄養 ・輸液療法 ・中心静脈栄養 ・呼吸管理(意識障害患者および神経・筋疾患患者を対象に) ・療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む) ・理学療法、リハビリテーション(脳血管障害、神経変性疾患、神経・筋疾患患者を中心に)の適応決定 ・手術療法の適応決定

(5) 医療記録     チーム医療や法規との関連で重要な医療記録を適切に作成し、管理するために以下のことができる。    ・診療録(退院時サマリーを含む)をPOS(Problem Oriented System)に従って記載し管 理できる。    ・処方箋、指示箋を作成し、管理できる。    ・CPC(臨床病理カンファランス)レポートを作成し、症例呈示できる。    ・紹介状と、紹介状への返信を作成でき、それを管理できる。

● 経験すべき症状、病態、疾患
(1) 頻度の高い症状、疾患(アンダーラインは、厚生労働省が指定したレポート提出
   義務のある必修項目)
   ・全身倦怠感、不眠、体重減少といった全身状態の変化。
   ・頭痛、めまい
   ・発熱
   ・浮腫
   ・失神、痙攣発作
   ・視力障害、視野狭窄、結膜の充血
   ・聴覚障害、耳鳴り、難聴
   ・呼吸器合併症に伴う呼吸困難、咳、痰、動悸、胸痛
   ・嚥下困難
   ・胸焼け、嘔気、嘔吐、腹痛
   ・便通異常
   ・腰痛
   ・四肢のしびれ
   ・排尿障害(尿失禁、排尿困難)、尿路感染症(血尿)
   ・発汗障害
   ・不安、抑鬱
   ・意識障害、髄膜刺激症候
   ・知能障害、痴呆、記憶障害、健忘
   ・筋力低下、筋萎縮
   ・歩行障害
   ・片麻痺、対麻痺
   ・パーキンソニズム
   ・不随意運動、けいれん、てんかん、てんかん重積発作の診断と治療、管理
   ・運動失調
   ・頭蓋内圧亢進症状
   ・言語、構語障害
   ・眼瞼下垂、複視、瞳孔異常
   ・中枢神経変性疾患
   ・脳血管障害
   ・脳炎・髄膜炎
   ・脊髄疾患
   ・重症筋無力症と呼吸不全
   ・ギラン・バレー症候群などの脱髄疾患、その呼吸管理
   ・筋疾患(筋変性疾患、炎症性疾患)
   ・代謝性疾患、中毒・薬物、内科疾患に伴う神経障害(ビタミン欠乏症など)による神経障害
・脳死の判定
(2) 当科で扱う緊急を要する症状、病態(アンダーラインは、厚生労働省が指定した必修項目)
   ・意識障害
   ・脳血管障害
   ・脳炎・髄膜炎
   ・けいれん、特にてんかん重積状態
   ・頭蓋内圧亢進症
   ・急性視力低下
   ・頭痛
   ・心肺停止
   ・ショック
   ・重症筋無力症のクリーゼ、ギラン・バレー症候群などによる急性呼吸不全
   ・神経変性疾患患者の急性呼吸器感染症
   ・急性横断性脊髄障害
   ・多発性硬化症の急性増悪
   ・周期性四肢麻痺
   ・急性横紋筋融解症

研修方法


病棟
研修医にたいして神経内科専門医(神経内科学会認定)が指導に当たる。
外来
外来診療を指導医のもとに研修できる。外来では限られた時間に多様な症候、疾患を経験することができる。
救急外来
ERは幅広く神経関連疾患を診療できる場である。通常の外来や病棟診療とは異なる病態を経験しながら上記疾患の習得を目指す。
その他
● 内科学会地方会や神経学会地方会などへの参加(院外、回数適宜)
● 他病院間の神経談話会、研究会(院外、回数適宜)
● 脳外科との合同の神経カンファランス(月2回)
● ブレインカッティング見学(適宜)
● 湘南鎌倉病院脳卒中診療科での血管内治療チームへの参加
● 東京西徳州会病院神経内科、山形徳州会病院や静岡徳州会病院神経内科などとの連携を図りながら、特に変性疾患の集中的研修を目指す。


最終更新日: 2009年10月21日 17:13